2023.10.19

【2023年6月号巻頭（抜粋）】Enrich yourselves! -あなた自身を豊かにせよ-

『本を読めば毎日が楽しくなる！』これこそ読書の魅力でしょう。というのも、読書の習慣を身につけた子どもとそうでない子どもでは日々の暮らしのなかでのワクワク感が大きく異なるからです。

子ども達にとっての生活の場は、大人に比べれば狭い領域です。しかし本を読めば、自分の知らなかった場所や自分の知らない世界に、あたかも自ら足を踏み入れたような感動に出会うことができます。また、童話やSF小説を読めば、想像の翼を思う存分羽ばたかせて、空想の世界を飛び回ることもできます。しかも、読書は日本語の読み書きのみならず、感ずる心もおおいに刺激しますから、日常生活でも、自分を取り囲む人々の喜怒哀楽を理解できるようになることでしょう。また、自分の言いたいことを作文することだって得意になります。こんな具合に、本を読めば、その人の心を育てる栄養をいろいろと体内に取り入れて、さまざまな創作活動に応用することができるのです。

18世紀に活躍したフランスの政治家フランソワ・ピエール・ギゾーは、フランス国民に対して教育の普及や教育法の改革を行ない、文相時代には歴史、科学研究を推進し、歴史的建造物の保護に力を入れました。政治や経済が安定せず、内戦で世の中がすさんでいた時期でもあったので、『金銭的に豊かになっても、精神的に貧困ではしかたがない』と考え、Enrich yourselves（Vous-memes enrichir）－あなた自身を豊かにしなさい－と国民に呼びかけました。今や日本の社会も混沌とし、未来を見失いかねない若者達が増えています。しかし多くの児童・生徒・青年が読書の面白さに気付けば、心は日増しに豊かになり、教育制度を無暗にいじらなくても、日本の教育環境は大きく変わるかもしれません。

この夏休みに学院生みんなで、読書の体験を楽しみましょう。もちろん読書は受験学習にもおおいに役立ちます。